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建設現場の機材を購入するなら「新品」か「中古」か 〜それぞれのメリット・デメリット〜

建設現場で欠かせない道具や機材。新品で買うか、中古品を探すかは、多くの会社が頭を悩ませるポイントではないでしょうか。最初に必要となる金額で決める会社も多いかもしれませんが、費用だけで判断してしまうのは少し早いかもしれません。

使用頻度、保有コスト、整備費なども考えながら、状況に応じて使い分けることをおすすめします。この記事では、実際に現場で感じた「新品・中古購入のメリット・デメリット」について、HOYOSHA international株式会社の羽山社長にうかがいました。


資産形成と節税効果が新品・中古購入の大きなメリット

新品を購入するメリットは、なんといっても「資産として残る」ことです。自社の所有物になるため会社の財産として扱えますし、長期的に見れば節税対策にもなります。建設資材や足場などは3年〜5年、建設機械は7年〜10年ほどの減価償却スパンで経費計上できます。つまり、購入金額の一部を毎年経費として処理できるのです。

それに新品は、やはり状態が良いことがメリットです。故障や破損するリスクも低く、整備次第ではほぼ一生使えるようなものもあります。私自身も長く建設業界に携わっていますが、大事に扱えば何年も問題なく使えますし、信頼できる自社の機材として長く現場を支えてくれています。

一方、中古品を購入することの一番のメリットは、新品よりも安く購入できることでしょう。よりコストを抑えられるので、初期投資を抑えたいときには、非常にありがたい選択肢です。

さらに、中古品は小ロットで導入できるため、必要な部材を少量だけそろえたいときにも便利です。特定の現場で、少しだけ特殊な部材が必要になったという状況で、新品を大量に発注するのは非効率的でしょう。そのような際に、必要な数量を迅速かつ安価に調達できる中古品は、有効な選択肢となります。

まとめると、新品・中古ともに「自社資産として長く使える」「節税になる」という点で大きなメリットがあります。特に会社の売上が好調な年などは、節税目的で購入することも理にかなった判断でしょう。よりコストを抑えたい、小ロットで迅速に調達したいというときには中古も選択肢です。


高い初期投資と維持費。購入前に知っておきたいデメリット

当然ながら購入にはリスクもあります。新品の最大のデメリットは、多額の資金が必要になるということです。建設機械やトラックなどは、1つ買うだけでも大きな出費になります。1回購入したら、次に追加で買うのは数年先になるということも珍しくありません。資金調達が必要になることも多く、社内稟議や銀行との相談などを行った結果、購入までに1か月〜2か月ほどかかるというケースもあります。

必要なときにすぐ手に入らないというのは、現場目線では痛いところです。たとえば、急な現場拡大で機材が足りなくなったとき、新品を購入しようにも、手配や納期の関係で間に合わないとします。そうなると、スピーディーに対応できるレンタルを選ばざるを得ない、ということになるでしょう。

また、維持費も見逃せないコストです。重機や車両は定期点検や整備に多くの費用がかかりますし、部材はメンテナンスが必要です。

中古品の場合は初期コストこそ下がりますが、点検やメンテナンスにかかるコストに加えて、品質が不安定というデメリットがあります。表面上はきれいでも、内部が劣化していたり、少し使うと破損したりして、結局修理費がかさむこともあります。

また、流通の途中に買取業者が入ることで、中古品の実際の相場より高くなってしまうこともあるでしょう。本来はもっと安く買えるはずなのに、業者の利益が上乗せされているため想定よりも高い価格になったと感じることもあります。

さらに、建設業界は技術革新のスピードが早いです。新しい規格や機能を備えた製品が次々と登場するなかで、数年前のモデルはあっという間に型落ちになってしまうこともあります。

新品・中古に共通するその他のデメリットとしては、盗難リスクも挙げられます。残念ながら、建設業界では保管している機材や現場に持ち出している機材を盗まれ、そのまま買い取り業者に持ち込まれてしまうという事件が後を絶ちません。盗難被害に対して保険が適用されることもありますが、全額保証というわけにはいかないため、新品で購入したものを盗難された場合、会社としては非常に辛いものがあります。

こうした点を踏まえると、所有すること自体にコストとリスクがつきまとうのが、新品・中古購入の現実です。


最適な使い分けの先に描く、業界の新しい取引の仕組みとは

ここまで見てきたように、新品や中古品の購入にはそれぞれメリットとデメリットがあります。新品は「長く安心して使える資産」、中古品は「コストを抑えて入手できる資産」と言えますが、どちらにも維持・管理コストがかかるのが現実です。

だからといって、費用を抑えられるレンタルが一番というわけでもありません。用途や使用頻度、資金状況に応じて、「何を自社で持ち」「何を借りるか」を見極めること、選択肢をうまく使い分けることこそ、今の建設現場で重要なことだと感じます。

高頻度で使用する基幹機材は新品で購入して資産とし、特定の現場で短期的にしか使用しない特殊な機材や、突発的な需要にはレンタルで柔軟に対応する。そして、その中間的なニーズに対しては、信頼のおける供給元から中古品を調達する。このように、それぞれのメリットを最大限に引き出し、デメリットを互いに補い合うような体制を組むことが、経営の効率化につながるでしょう。

それぞれの会社に複数の選択肢があるなかで、私が今後実現したいと考えているのが、売り手と買い手が直接つながり、安心して公正な価格で取引できるプラットフォームです。買取業者を介さないことで、これまで上乗せされていたコストがなくなり、誰もがもっと適正な価格で、より気軽に機材を売買できるはずです。これは、物価高や人件費高騰といった個人の努力だけでは乗り越えがたい問題に対する、業界全体にとっての解決策にもなると考えています。


この記事を書いた人

HOYOSHAinternational株式会社は、「鳳陽社」「信和リース」「ルミエール」を関連会社とする企業グループです。

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