「中古の足場や仮設資材なんて、スクラップにするしかない」
そう思っていた時代はもう終わりを迎えています。
近年、国内外で足場材や仮設資材の再販市場が急速に拡大しています。背景にあるのは、建設業界全体における構造変化と、サステナビリティを重視する社会的潮流です。
この記事では、仮設資材再販市場が伸びている理由と、今後のビジネスチャンスについて、データとトレンドを交えながらわかりやすく解説します。
1|建設/仮設資材市場に起きている”静かな革命”
これまで足場材や仮設資材は、使用後に保管またはスクラップされるケースが多く、再利用よりも「処分」の選択肢が主流でした。
しかし今、次の3つの要因により市場が変化しています。
① 安全基準の強化
国土交通省が主導する安全対策の強化により、旧規格足場から次世代足場への切り替えが急速に進んでいます。
これにより、旧型資材が一斉に市場へ放出され、中古再販ニーズが拡大しています。特にクサビ式足場や次世代足場への移行は、中小事業者にとって大きな設備投資となるため、中古市場での調達が現実的な選択肢となっています。
💡 ポイント
安全基準の改定により、旧型足場の使用が制限される一方、まだ使える資材が市場に流通。これが再販市場拡大の大きな契機に。
② 建設現場の短期化・流動化
案件ごとの工期が短くなり、「買うより借りる・使ったら売る」スタイルが浸透しています。
これにより、中古取引を通じた循環型の調達が一般化。特にプロジェクトベースで資材を調達する中小ゼネコンや専門工事会社では、固定資産を持たない経営スタイルが主流になりつつあります。
③ サステナビリティ意識の高まり
SDGsの観点からも、「再利用できる資材の価値」が見直されています。
メーカー・レンタル会社・ゼネコン間で資材循環ネットワークを再構築する動きが進んでおり、ESG経営の一環として中古資材活用を積極的に推進する企業も増加しています。
2|データで見る再販市場の成長
世界の足場レンタル市場は、2032年までに約107億ドル(約1.6兆円)へ到達する見込みです。
国内でも、2025年時点で中古足場の流通量は前年比約120%増と推定されており、この成長を支えているのは、中小ヤードやリース会社による再販モデルの多様化です。
再販市場規模の推移(推定)
| 年度 | 再販市場規模(推定) | 主なトレンド |
|---|---|---|
| 2015年 | 約500億円 | スクラップ中心の取引 |
| 2020年 | 約800億円 | 海外輸出+中古販売が台頭 |
| 2025年(予測) | 約1,000億円 | 国内リユース流通が拡大 |
| 2030年(予測) | 約1,300億円 | 次世代足場リース・再販ハイブリッド |
⚠️ 注目ポイント
2015年から2030年にかけて、市場規模は約2.6倍に成長する見込み。特に2020年以降の成長率が顕著で、循環型経済への移行が加速していることがわかります。
3|再販が伸びる3つの理由
① 「モノを持たない経営」への転換
レンタル・リース型経営が主流化し、在庫資産を減らす流れが定着しています。
使用後の資材を早期に現金化する仕組みが求められており、固定資産税やメンテナンスコストの削減効果も大きく評価されています。
経営メリット
- 資産のスリム化による財務健全性の向上
- キャッシュフロー改善
- 保管スペース・管理コストの削減
- 税務上のメリット(減価償却負担の軽減)
② 再販品質の安定化
近年では洗浄・検品・塗装ラインを備えた再生ヤードが増加しています。
新品に近い品質で再販売することが可能になり、中古に対する不信感が薄れたことも大きな要因です。特に専門業者による品質保証付きの中古資材は、新品の60〜70%程度の価格で流通し、コストパフォーマンスの高さから人気を集めています。
③ デジタル取引の普及
オンラインで出品・査定・販売が完結するプラットフォームが登場し、地方ヤードでも全国の買主と取引できるようになりました。
従来の「知り合いベースの相対取引」から、透明性の高いマーケットプレイス型取引へのシフトが進んでいます。
デジタル化のメリット
- 取引の透明性向上
- 適正価格の可視化
- 地域を超えた取引機会の創出
- 事務作業の効率化・ペーパーレス化
4|再販が進む資材カテゴリ
再販市場で特に活発な取引が行われている資材カテゴリを詳しく見ていきましょう。
| 資材カテゴリ | 再販動向 | コメント |
|---|---|---|
| クサビ式足場 | ◎ 成長市場 | 軽量・互換性が高く、再販流通の中心。組立効率の良さから需要増 |
| 枠組足場 | ○ 依然需要あり | 根強い需要があり、再販流通多。大型現場での実績豊富 |
| 次世代足場 | ◎ 高単価市場 | 新品価格が高く、中古人気が高まる。安全性と経済性を両立 |
| 仮設ハウス・トイレ | △ 安定市場 | 地域内再販・再レンタルが主流。運搬コストが価格に影響 |
| 重機・発電機 | ○ 中古人気定着 | 国内整備業者による再販が盛ん。メンテナンス体制が鍵 |
多様化する仮設資材の種類
📌 特に注目すべきカテゴリ
クサビ式足場と次世代足場は、今後の再販市場を牽引する存在です。
- クサビ式足場: 軽量で組立が容易、互換性が高いため、中小規模現場での需要が旺盛
- 次世代足場: 安全基準に完全対応し、高い安全性を確保。新品価格が高額なため、中古市場での価格優位性が顕著
5|市場が広がることで起きる課題
再販市場が拡大する一方で、次のような課題も浮かび上がっています。
⚠️ 主な課題
品質基準のばらつき(外観・錆・互換性の評価が売主によって異なる)取引トラブル(数量差異・積込条件の認識齟齬)適正価格の不透明さ(相場が見えにくく交渉が困難)検品体制の未整備(第三者による品質保証の不足)決済・物流面の課題(地域間輸送コストの負担)
⚡ 解決の鍵
このため、今後は「公平で中立的な取引環境」を持つプラットフォームの存在が不可欠です。標準化された品質基準、透明な価格形成、トラブル時のサポート体制が求められています。
6|まとめ|循環型経済の中核へ
足場・仮設資材の再販市場は、単なる”中古取引”ではなく、循環型経済の中核に位置づけられつつあります。
「資材を捨てずに活かす」ことが、今後の企業価値やコスト競争力を左右する時代が到来しています。
再販市場が開く3つのチャンス
コスト削減
新品購入コストを30〜40%削減可能。設備投資の負担を大幅に軽減
環境貢献
SDGs・ESG経営の実現。企業イメージ向上と社会的責任の両立
事業機会
成長市場への参入チャンス。新たな収益源の確保
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