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2トン以上のトラックは中型(準中型)免許が必要?2025年時点の実情を徹底解説

現場でよく聞く疑問として「2トン車は普通免許で運転できるの?」というものがあります。結論から言うと、2017年3月12日以降に普通免許を取得した人は、いわゆる2トン級のトラックを基本的に運転できません

その理由は、道路交通法改正で「準中型免許」が新設され、普通免許で運転できる上限(車両総重量・最大積載量)が下がったからです。

目次

1. 制度の要点

免許制度改正の概要

2トントラック運転席

2017年3月12日の法改正により、運転免許の区分が大きく変わりました。特に重要なのは以下の点です:

2017年3月12日以降に普通免許を取得した場合

  • 運転できる車両: 車両総重量3.5t未満・最大積載量2.0t未満
  • 2トン級の運転: 最大積載量2.0t以上または車両総重量3.5t以上のトラックを運転するには準中型免許が必要

過去の免許取得者の扱い

  • 2017年3月11日までの普通免許(=「5t限定準中型」扱い):総重量5t未満/積載3t未満まで運転可能
  • 2007年6月1日までの普通免許(=「8t限定中型」扱い):総重量8t未満/積載5t未満まで運転可能

つまり2トン車でも、総重量やボディ仕様によっては普通免許の範囲を超えます。免許取得の時期と、車検証の車両総重量/最大積載量の数字で判定しましょう。

2. なぜ2トン級は準中型以上が現実的なのか

現場で「2トン車」と呼ぶ小型トラックは、最大積載量が「約2t」、車両総重量は概ね5t未満の個体が主流です。

この総重量が普通免許(2017年以降)の上限3.5tをオーバーするため、準中型免許が必要になるケースが多いのです。

⚠️ 重要な注意事項
免許区分を外れて運転すると無免許運転扱いになります。業務利用でも「知らなかった」では済みません。

3. 年代別「自分は何トンまでOK?」早見表

免許証比較
免許取得時期免許区分運転可能な車両
2017/3/12以降普通免許総重量3.5t未満/積載2.0t未満
⇒ 2トン級の多くは運転不可
2007/6/2~2017/3/115t限定準中型相当総重量5t未満/積載3t未満まで
~2007/6/18t限定中型相当総重量8t未満/積載5t未満まで

免許証左下の取得日と、車検証の車両総重量/最大積載量を必ずセットで確認してください。

4. 現場への影響:建設・資材運搬で起こっていること

トラック運転の現場

実際の現場で起こっている問題

  • 若手の「普通免許」では2t車を運転できない(2017年以降免許が主流)
  • スポット運搬やレンタカー運用がやりづらい(配車の直前で免許不適合が発覚)
  • 安全・法令リスクの上振れ(区分外運転=無免許扱い)
  • 採用・教育コストの上昇(準中型の取得支援、ドライバー不足補填)
  • 調達・配送設計の見直し(1.0~1.5t車での細切れ配送、外部業者の活用等)

5. どの免許なら、どんな2トン級に乗れる?

準中型免許

  • 運転可能範囲: 総重量3.5~7.5t未満/積載2.0~4.5t未満
  • 適用車両: 建材の小口配送やいわゆる2トン~3トン級を幅広くカバー

中型免許

  • 運転可能範囲: 総重量7.5~11t未満/積載4.5~6.5t未満
  • 適用車両: 4t級まで視野

なお、準中型の新設(2017年)は、安全性と若年就業の両立が狙いです。普通免許でいきなり大型目の小型トラックに乗るリスクを抑える設計となっています。

6. これだけはNG:よくある勘違い

❌ 間違った認識

  • 「最大積載量が2tぴったりなら普通免許でいける」
    → ×。総重量3.5t以上なら準中型が必要。普通は”総重量”も”積載量”も規制値未満であることが条件。
  • 「社用の短距離ならセーフ」
    → ×。区分外は無免許運転。事故・監査で重いリスクに直結。

7. 実務レベルの対応(建設業界・資材運搬向け)

① 車両の棚卸しと数字の見直し

保有/レンタル車の車両総重量・最大積載量を一覧化。免許要件との突合を恒常運用

② 免許を前提にしたシフト設計

準中型以上の保有者と普通のみを明確化。同乗・横持ち・サポート要員の組み合わせを固定化。

③ 免許取得の支援制度

準中型の合宿・通学費用相場は30万円前後~(教習所や時期で変動)。助成・借上げ制度を整えると採用にも効く。

④ 物流の設計替え

1.0~1.5t車での回数分割、外部業者(準中型以上)への委託、現場受入時間の前倒し(早朝)で熱中症リスクも同時に緩和。

⑤ 社内教育:車検証の読み方と2つの数字

総重量/最大積載量の意味を毎回の点呼で確認。新人は写真付きマニュアルで定着。

8. メーカー側の対策も進む

準中型トラック

メディアでも「普通免許の壁」が話題になり、免許要件を問わない(=普通でも扱いやすい)車両設計への模索や提案が報じられています。現実的には、法定枠(総重量・積載量)を守りつつ積載・使い勝手を両立する開発が進行中です。

まとめ:ルールは足かせではなく、”設計条件”

トラック運転のイメージ
  • 2017年以降の普通免許は「総重量3.5t未満/積載2t未満」まで。2トン級の多くは準中型以上が必要――これが2025年時点の正解。
  • 逆に言えば、免許×車両×運用を”設計”すれば、リスクは下げられ、採用・教育の差別化ポイントにもなる。
  • 免許取得支援(準中型)を福利厚生化し、車両ラインナップと配送設計を見直せば、若手が動ける現場に変わります。

ルールは、工夫の余地がある”条件”です。

「ルール変更で詰む現場」から「ルール変更で強い現場」へ。数字(総重量・積載量)と人(免許)を見直していきましょう。


出典・参考

  • 準中型免許の新設(2017/3/12)と範囲、改正の背景(警視庁)
  • 2017年以降の普通免許の上限(総重量3.5t未満/積載2t未満)と、2t以上・3.5t以上は準中型が必要(埼玉県警)
  • 免許取得時期別に運転できる範囲/区分外は無免許運転扱い(いすゞ・トラックステーション)
  • “2トン級”の実態(積載約2tで総重量は多くが5t未満)(トラック王国ジャーナル)
  • 「普通免許の壁」をめぐる報道(TBS NEWS DIG)

※ この記事は2025年9月時点の情報に基づいています。最新の法改正については、各都道府県の警察署や運転免許センターにご確認ください。

この記事を書いた人

HOYOSHAinternational株式会社は、「鳳陽社」「信和リース」「ルミエール」を関連会社とする企業グループです。

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